老後資金は2,000万では足りない
2019年8月27日に、厚生労働省が財政検証の結果を発表しました。
それによると、30年後には年金支給額が今の水準より実質的に2割ほど目減りするとのことです。
これによる必要老後資金への影響と、対応策についてまとめました。
不足資金は2,000万円から3,500万円に増加
まずは、2,000万円の計算前提についておさらいです。
- 夫が会社員(厚生年金)、妻が専業主婦(国民年金)
- 年金支給は65歳から開始
- 寿命は95歳と仮定(30年間年金受給する計算)
- 現行の平均年金収入は月209,198円
- 現行の平均支出は月263,718円(赤字54,520円)
「必要資産=月の赤字54,520円×360か月=19,627,200円」
これが老後資金2,000万円の根拠です。今回の財政検証では、年金収入が30年後に実質2割減少することが示されました。
すなわち、209,198円×80%=167,358円
よって、月の赤字は167,358-263,718円=△96,360円
「必要資産=月の赤字96,360円×360か月=34,689,600円」
となり老後資金は3,500万円となりました。ほぼ2倍です。
対応策は①資産を増やす、②支出を削る、③長く働く、④共働きする
対応策ですが、上記4つの組み合わせによって対応するしかありません。
①資産を増やす
つみたてNISAやiDeCoといった税制優遇制度をうまく使って、長期分散積立投資を行っていきます。
つみたてNISAは最大で800万(40万×20年)の利用枠があり、iDeCoは人によりますが標準のケースだと月23,000円を掛金として拠出できますので30年間加入した場合、23,000円×360か月=828万となり、合わせて元本が1,628万となります。これに運用益が加味され、税金が優遇されますので、利回り3%程度で回れば2,000万を超えてきます。
②支出を削る
現行の平均支出月263,718円ですが、これは生きていくために最低限必要な支出ではありません。
例えばですが、
- 食費:64,444円
- 交通・通信:27,576円
- 教育娯楽:25,077円
どうでしょう。最低限とは言えないと思いませんか?
少し支出を見直して、支出を22万円とすれば、月の赤字は52,642円となりますので、
「必要資産=月の赤字52,642円×360か月=18,951,120円」
となります。支出見直しでだいぶ減りますね。
③長く働く
65歳でリタイアが前提となっていますが、68歳まで働いて年金の支給開始を繰り下げれば、年金受給額は25.2%(0.7%×36か月)増加します。
すなわち、年金収入=167,358円×1.252=209,532円となり、
「必要資産=月の赤字54,186円×324か月=17,556,264円」
④共働きする
モデルケースでは専業主婦が前提でしたが、社員として働き厚生年金に加入すれば、年金収入が増えます。
例えば20年働いたことで、年金収入が月3万円増加したと仮定します。そうすると、
「必要資産=月の赤字66,360円×360か月=23,889,600円」
以上、組み合わせ次第でなんとかなると思います。
なお、最後に、フリーランスなどの自営業の方は国民年金しかもらえません。現行ですと、夫婦で130,000円ですが、こちらも2割減ると、104,000円です。
「必要資産=月の赤字159,718円×360か月=57,498,480円」
これは、しっかり資産形成しないと厳しいでしょう。
大事なことは、厳しい現実と向き合い、今から考えて、今のうちから将来に備えて資産形成をすることです。このブログでは資産形成について真剣に取り組もうとしている方を応援しておりますので、ぜひ他の記事もご覧ください。
今回は以上です。