こんにちは、会計士のねこぱんだ(@nekopanda_blog)です。
以前の記事で老後資金対策の基礎をまとめましたが、今回はより実践的な内容になってきます。
今回のテーマですが、「少しでも多く年金をもらうにはどうしたらよいか」、ということです。年金には公的年金と私的年金がありますが、今回は公的年金に絞ってお話します。
公的年金ですが、厚生年金と国民年金に分かれます。図示すると以下のような形です。

【共通】未納期間は極力無くそう
まず、共通してお伝えしなければいけない点は、未納はなくしたほうがいいということです。
例えばですが、大学生の時は収入がなく、かつ、特例で支払わなくても良いことになっているため、未納となったままの方がいるかもしれません。卒業後にサラリーマンになった方は、源泉徴収により嫌でも年金保険料を払うことになるため厚生年金の支払い漏れはまず起こりませんが、大学生の時の国民年金は盲点になっている人も多いと思います。
また、独立した方で、独立当初は経済的に厳しかったため免除してもらっていたケースもあると思います。
国民年金保険料は満額払うと(現在は)年78万もらえますが、2年未納があると年74万と年4万の差額となってきます。
この解決策ですが、「追納」を検討しましょう。10年以内であれば、遡って保険料を納めることができます。支払った保険料は「社会保険料控除」の対象ですので、所得から控除され、税金も抑えられます。
自営業者・フリーランスは満額国民年金を払おう
自営業者・フリーランスの方は第1号被保険者に該当し、国民年金に加入します。また、補足ですが、専業主婦(夫)は第3号被保険者に該当し、こちらも国民年金に加入することになります。
大事な点ですが、国民年金だけでは老後の生活は成り立りませんので、なんらかの形で上乗せすることは必須だと理解してください。(過去記事をご参照ください。)その前提で話しますと、
国民年金の概要は以下の通りです。
- 加入期間:20歳~60歳の40年間
- 保険料:現在は月16,400円程度(年196,800円程度)
- 受給額:現在は月65,000円程度(年780,000円程度)
これだけ見ると、保険料を払うのが得なのか損なのかわかりづらいと思いますので、簡単に計算してみましょう。
「保険料(払う額)=16,400円×480か月=7,872,000円」
受給額(もらえる額)は年780,000円なので、だいたい10年で元が取れます。
今の年金支給開始は65歳なので、75歳まで生きれば元が取れ、それ以降は得になっていく計算です。(あくまで今の制度が前提)
なお、参考までにですが、国民年金の受給額(もらえる額)は年800,000円弱で長年大きな変動はありませんが、保険料(払う額)は増加傾向が続いています。平成の始めごろは年10万(月に8,000円)だった保険料が、平成の終わりには2倍の年20万(月に16,000円)となっています。少子高齢化が一層進む日本では、今後も保険料はじわじわと上がっていくでしょう。グラフにすると以下のとおり。

前置きが長くなりましたが、自営業者・フリーランスが公的年金を増やそうとしたら、とにかく国民年金を満額支払いましょう。それに加えて、付加年金という制度があります。こちらで増額が可能となっております。なお、私的年金である国民年金基金との併用はできませんので、よく考えてから選んでください。
付加年金
付加年金とは、国民年金保険料に月々400円を上乗せすることで、受給開始年齢(現行65歳)になったら、付加年金という形で、「200円×付加保険料納付済期間の月数」の金額の年金を受け取ることができます。
これだけだとわかりにくいと思いますので、具体例を出します。
30歳から付加年金に加入。保険料の上乗せ分は400円×360か月=144,000円。
一方で、年間の受給額の上乗せ分は200円×360か月=72,000円。即ち、付加年金の保険料は2年で元が取れ、それ以降は得することになりますので、かなりお得な制度だと言えますが、大きく受給額を増やすことができないのは難点でしょう。
会社員・公務員は年収を上げるか長く働くかの2択
会社員と公務員は厚生年金に加入します。国民年金よりも受給額が大きく、国民年金が1階建てと表現されるのに対し、厚生年金は2階建てと呼ばれます。
受給額は人によって異なり、受給額を左右する2つの要素が「年収(正確には平均標準報酬額)」と「加入期間(勤務月数)」です。
厚生年金(比例報酬部分)の受給額は以下のとおりです。この金額が国民年金に上乗せされることになります。
生涯平均年収 | 20年 | 25年 | 30年 | 35年 | 40年 |
3,000,000 | 328,860 | 411,075 | 493,290 | 575,505 | 657,720 |
4,000,000 | 438,480 | 548,100 | 657,720 | 767,340 | 876,960 |
5,000,000 | 548,100 | 685,125 | 822,150 | 959,175 | 1,096,200 |
6,000,000 | 657,720 | 822,150 | 986,580 | 1,151,010 | 1,315,440 |
7,000,000 | 767,340 | 959,175 | 1,151,010 | 1,342,845 | 1,534,680 |
8,000,000 | 876,960 | 1,096,200 | 1,315,440 | 1,534,680 | 1,753,920 |
以上からわかるとおり、年収が高いほど(保険料も高いので)年金が高い。また、加入期間が長いと(保険料の総額も増えるので)年金が高い、ということになります。
以上より、厚生年金の増やし方は、
- 出世や転職で年収を増やす
- 健康を維持して少しでも長く働く
この2通りとなります。自営業者・フリーランスと異なり付加年金や国民年金基金には入れません。もし、これ以上の年金が必要であれば私的年金を活用することになります。
私的年金は改めて記事にしていきます。
今回は以上です。