今回は私の本職である会計学について、皆さんのためになるような内容でわかりやすく解説したいと思います。単に資産を増やしたい方だけではなく、学生の方、社会人の方にとってもためになる内容を目指しました。
この記事では、貸借対照表(B/S,Balance Sheet)と損益計算書(P/L,Profit and Loss Statement)の見方がわかり、自分のバランスシートが作成できるようになることがゴールとなります。
体重計があれば体重がわかり、体重の管理ができるようになります。
B/Sの見方・作り方がわかれば、資産状況がわかり資産管理ができるようになります。
B/S,P/Lの見方を学ぶ
まずは基本ルールを覚えましょう。とってもシンプルです。
「貸借対照表 B/S」
- ルール①:借方(左側)と貸方(右側)の合計は常に一致する。
- ルール②:借方(左側)の「資産」には自分の持ち物が記載される
- ルール③:貸方(右側)には資産を誰のお金で買ったかが記載される
「損益計算書 P/L」(※簡素化のため本来のルールとは少し変えています)
- ルール①:借方(左側)には一定期間の支出がくる
- ルール②:貸方(右側)には一定期間の収入がくる
- ルール③:収入と支出の差分はB/Sの純資産を増減させる
これだけだとわかりにくいと思いますので、具体的に見ていきましょう。
AさんのB/SとP/Lについて見ていきます。なお、単位は万です。
大学生から社会人へ
Aさんは22歳。見事社会人デビューを果たしました。
就職を機に東京で一人暮らしです。上京の際、両親から現金100をもらいます。手元には現金が100あります。
この際、収入が100入り、支出はありません。よって、純資産が100増えます。
貸借対照表では資産が100、純資産が100計上され、左右はバランスしています。

社会人1年目を終える
Aさんが就職して1年が経ちました。1年の収入は300で、支出は250でした。
手元には現金150があります。
収入と支出の差分が50ですので、純資産が50増えます。
貸借対照表では資産が150、純資産が150計上され、左右はバランスしています。

社会人2年目を終える
Aさんが就職して2年が経ちました。2年目の収入は320で、支出は340でした。社会人に慣れてきて、遊び癖がついてしまいました。
手元には現金130があります。
収入と支出の差分が△(マイナス)20ですので、純資産が20減ります。
貸借対照表では資産が130、純資産が130計上され、左右はバランスしています。

社会人10年目を終える
少し飛んで、社会人10年目終了です。この8年で収入が4,000、支出が3,000でした。
手元には現金1,130があります。
収入と支出の差分が1,000ですので、純資産が1,000増えます。
貸借対照表では資産が1,130、純資産が1,130計上され、左右はバランスしています。

マイホームを買う
お金も貯まり、社会人としても一人前になったため、マンションを買うことにしました。
3,000のマンションで、頭金を500入れ、2,500のローンを組みます。
資産としては現金が630(=1,130-頭金500)、不動産が3,000です。
負債が2,500発生しました。
この結果、資産が3,630です。負債2,500と純資産1,130の合計が3,630となり、左右はバランスしています。

こんな感じです。簡単ですよね。
自分のB/Sを作ってみる
B/Sの作り方がわかったら、今度は自分のB/Sを作ってみましょう。
作り方は、左側の資産に自分の持ち物を書きます。右側の負債に、ローンなどの残債を書きます。純資産は差額です。
なお、不動産や車は本来減価償却後の金額で書くべきですが、簡便化のため、負債と同額にしておくとよいと思います。住宅ローンが1,000万残っていたら、自宅も1,000万としましょう。

大事なのは、純資産がいくらあるのか、ですので注意しましょう。
また、リタイアするまでは年を重ねるごとに純資産が増えていくのが理想です。定期的に作り直すことで、資産状況が見えてきます。
ちなみにですが、最近経営不振のジャパンディスプレイという企業の2019年3月末の貸借対照表(単体ベース)は以下のような感じです。(単位:百万円)
純資産がマイナスでかなり危険な水準であることがわかります。

知っていると、こんな見方が出来るようになる
最後に、バランスシートの見方を知っていれば、騙されにくくなると思います。
例えば、不動産投資の勧誘を受けて、「資産0から始めて、誰でも3年で1億の資産を築けるようになります!」と言っているとします。この投資話はどう思いますか。
1億の資産があるということは、大抵の場合、負債も1億あります。左右が必ずバランスするのだから、右側はどうなっているのか考えればすぐわかることです。
(不動産のローンを返すには早くとも20~30年くらいはかかります。)
B/Sはこんな感じです。

資産ゼロで始めると、当然のことながら純資産もゼロです。
自己資金を入れない不動産投資はハイリスクですので、おすすめできません。
また、「日本には1,000兆円の借金がある」というニュースはどうでしょうか。
これも、右側が1,000兆円あるなら、左側も1,000兆円あることがわかります。
資産が1,000兆円あるなら、負債が1,000兆円あっても問題ないですよね。資産を使って負債を返済すれば、負債はなくなります。
今後は、左右両方見れるようになりましょう。世の中、片方しか言わない人多すぎます。
これを機に資産形成をしようと思った方はこちらを参照ください。
今回は以上です。