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老後資金はいくら貯めるべきか【早期の対策が効果的です】

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こんにちは、会計士のねこぱんだ(@nekopanda_blog)です。

老後が不安な人は多いと思います。「老後資金が2,000万円必要」というニュースに大きな衝撃を受けた人もいるかもしれません。

この記事では、主に20代~40代の方をターゲットに、老後資金がいくら必要で、どのように貯めるかを、自分自身で考え、行動に移すための情報をお届けしようと思います。若ければ、いくらでも対策できますので安心してください。

結論としては、以下の3つを組み合わせて対応していくことが必要です。

<老後対策の基本戦略>

①収入を増やす(長く働く、共働きする、副収入を作る)
②支出を減らす(無駄な支出を避ける)
③お金を貯める(iDeCo、つみたてNISA、個人年金など)

これらの組み合わせ次第では、必要となる老後資金は大きく変わってきます。

大事なことは、自分で考え、自分が決めることです。自分の老後ですので、責任を持てるのは自分だけです。

はじめに 老後資金2,000万の根拠

まずはこちらの図を見てみましょう。わかりやすくするために、図式をしてみました。

(前提)

  • 夫と妻の2人家庭
  • 夫は会社員(厚生年金)、妻は専業主婦(国民年金)
  • 65歳で引退し、95歳まで生きる
  • 収入(年金その他)が月に21万円
  • 支出が月に26.5万円

(老後資金の計算)

月の赤字5.5万(21-26.5)×12か月×30年=1,980万円

よって、老後資金は2,000万円必要である。

自分の必要資金額はいくらなのか

先ほどの計算はあくまでも一般論ですので、自分の必要資金は自分で計算しなければいけません。そこで、まずはざっくりでいいので計算してみましょう。

計算していく中でこんなことに気づいた人もいるかもしれません。

  • 長寿命化が進んでおり、100歳まで生きるのでは?
  • 年金開始年齢は今後引き上げられるのでは?(現在は65歳から)
  • 年金支給水準は今後低下していくのでは?(月20万ももらえない)

また、こんな意見もあるかもしれません。

  • 実際、月々いくら支出するかは今わからない
  • 仮に2,000万必要とわかっても、自分には貯められるわけがない

上の3つは自分で決められない部分なので仕方ありません。何歳まで生きるかはわかりませんし、年金の開始年齢や支給水準は政府が決めることです。ある程度リスクを織り込んだ上で、計算するしかないでしょう。私であれば、年金水準は今の70%くらい(月14万)とみなして計算しています。

一方で下の2つは自分が何とかするしかありません。自分で何とかできる部分は最大限対応しましょう。今から着手すれば選択肢は沢山あります。逆に、先延ばしをすればするほど選択は狭まります。

年金はいくらもらえるのか

まずは基本を抑えるために、公的年金について解説します。

①国民年金

20歳以上の日本国民全員が納めるものです。20歳から60歳を迎えるまで払い続ける必要があります。1階部分と表現されます。

今の水準でもらえる年額は、

「国民年金(年額)=780,100円×納めた月数÷480か月」

即ち、最大で年額780,100円(月65,000円)となります。納めた期間が長いほどたくさんもらえます。逆に、未納の期間があると年金は減ることになりますので、できるだけ納めた方がいいでしょう。

当然ながら、夫婦であればそれぞれもらえます。

よって、自営業夫婦であれば最大で年額1,560,200円(月130,000円)となります。

②厚生年金

会社員および公務員の方が加入します。国民年金の他にもらえる部分であり、2階部分と表現されることが多いです。

厚生年金の特徴ですが、収入に比例して保険料が上がります。保険料を多く納めておくと、もらえる年金が増えます。納めた期間に比例する部分は国民年金と同じです。

「厚生年金=平均標準報酬額×0.005481×勤務月数」

で計算されます。平均年収400万で40年働いたとすると、

「厚生年金=(400万÷12)×0.005481×480か月=876,960円」

夫が会社員、妻が専業主婦の場合は、夫が厚生年金、妻が国民年金となりますので、先ほどの①のように満額もらえるケースだと、

夫:厚生年金+国民年金=876,960円+780,100円=1,657,060円

妻:国民年金=780,100円

よって、夫婦で年額2,437,160円となり、月額は203,097円となります。

厚生年金に入ると、保険料は国民年金に比べて多く取られますが、年金も多くもらえることになります。妻が専業主婦ではなく会社員の場合は、夫婦ともに厚生年金をもらうことになりますので、より年金受給額は増えます。

年収別、勤務月数別の厚生年金テーブルを用意しましたので、参考にしてください。

生涯平均年収 20年 25年 30年 35年 40年
3,000,000 328,860 411,075 493,290 575,505 657,720
4,000,000 438,480 548,100 657,720 767,340 876,960
5,000,000 548,100 685,125 822,150 959,175 1,096,200
6,000,000 657,720 822,150 986,580 1,151,010 1,315,440
7,000,000 767,340 959,175 1,151,010 1,342,845 1,534,680
8,000,000 876,960 1,096,200 1,315,440 1,534,680 1,753,920

みなさんの不安として、将来年金が減るのではないか、というのがあると思います。私もそう思っています。個人的には今20代、30代の人たちは今の水準より2~3割程度減額されるリスクを見込んでおくのが賢明だと思います。

例えば、夫が会社員(年収400万)、妻が専業主婦の場合、月に14~16万くらいがもらえるイメージをもっておくべきでしょう。この金額はやはり少ないので、ある程度は貯蓄を持っておき、それを取り崩しながら老後生活を送っていくのがスタンダードな気がします。老後の備えは早い者勝ちです。次で説明します。

(超重要)早くスタート切った人が勝ちます

仮に老後資金が2,000万必要だとしましょう。当然ながら早くスタートした方が有利です。わかりやすくするために、フルマラソンに例えてみましょう。

フルマラソンだと42.195kmを走ることになります。

<ケース①:目標タイム4時間>

1kmあたり5分40秒ペースで走り続けないといけません。時速はだいたい10kmなので、歩く速度(4km)の2.5倍になります。

初心者がいきなりこのペースで走ると、数キロで止まってしまいます。普段から走り込んでおり、1年くらいかけて相当な準備をしない限り、このペースでは走り切れません。

<ケース②:目標タイム8時間>

1kmあたり11分20秒ペースで走り続けないといけません。時速はだいたい5kmなので、ちょっと早めに歩くレベルになります。最初の10kmくらいを1kmあたり8分ペースで走れば、残りの32kmは普通に歩いても完走できます。

これならば、初心者でも完走できそうです。準備もそんなに必要ないでしょう。

以上が例えですが、要するに、早くスタートを切れば切るほど、時間はたくさんあることになります。時間があれば、ゆっくりでもゴールできるということですね。ゆっくりでも良いのであれば、誰にでもチャンスはあります。逆に、いつまでもスタートを切らないでいると、相当なスピードで走らなければいけません。

老後資金2,000万ですが、すべて貯金で準備すると、

  • 準備期間10年だと、月16.6万円が必要
  • 準備期間20年だと、月8.3万円が必要
  • 準備期間30年だと、月5.5万円が必要

どうでしょうか。早めにスタートした方が明らかに楽ですね。後述しますが、貯金だけでなく投資をすると(理論上は)さらに楽になります

以降で、改めて老後対策について詳しく見ていきましょう。

対策①:収入を増やす

収入を増やす方法としては、①長く働く、②共働きする、③副収入を作るのいずれかの対応が考えられるでしょう。月に3万でも5万稼ぐことができれば、老後資金は少なくても済みそうですので、現実的な解決方法だと思います。

①長く働く

多くの方はここに辿り着くと思います。今は60歳で一旦退職し、65歳までは再雇用として働くのが一般的かと思います。現在は政府を中心に65歳を定年にするような動きがあります。今の若い世代は、引退は早くとも65歳で、多くの方は70歳くらいまで働くのが一般的になるのではないでしょうか。

この方法のメリットとデメリットですが、

<メリット>

  • 健康であれば、割と誰でもできる
  • 必要資金の手当ては少なくて済む

<デメリット>

  • 健康でないとできない
  • 地方だと仕事がそんなにないかも(場所の制約あり)
  • 健康寿命までしか使えない選択肢である
  • 健康なうちは働くことになり、自由な生活は謳歌できない

老後はのびのびと暮らしたいという方には不向きでしょう。

②共働きする

こちらも現実的なアイディアだと思います。

先ほどの例の場合、妻が国民年金のため、厚生年金と比べて受給額が少なくなってしまっています。国民年金が月6.5万に対し、厚生年金の平均は月14.5万です。当然ながら、女性は出産・子育てがあり、男性ほど保険料を納められないため、男性よりは少なくなるとは思いますが、それでも月10万くらいもらえれば、収支の改善は月3.5万(10万-6.5万)と大幅に状況は良くなります。

この方法のメリットとデメリットですが、

<メリット>

  • 多くの家庭が取れる選択肢である
  • 貯蓄等で手当てすべき金額は(場合によるが)大きく減る

<デメリット>

  • とにかく忙しい(特に女性)
  • 家事や子育ての負担は女性に寄りがち
  • 家族の時間がなかなか持てない

今の政府の考え方(一億総活躍)からすれば、共働きが望まれるでしょう。

③副収入を作る

こちらは今風な解決策です。ネット副業(ブログ、Youtubeなど)で稼ぐ力を今からつけておけば、老後は安泰というものです。

この方法のメリットとデメリットですが、

<メリット>

  • 時間と場所の制約が少ない
  • 多少身体が不自由になっても、パソコンさえ使えればOK

<デメリット>

  • 誰でも簡単に安定して稼げるわけではない
  • グーグルアップデートなど、不確実性は常にある

誰にでもできるわけではないため、今から少しづつ種まきをして、試行錯誤することが必要でしょう。一見楽に見えますが、決して楽ではありません。一方で、当たるとデカいです。

対策②:支出を減らす

次に考えるべきは老後の生活費です。

今の高齢者の平均支出は26.5万ほどです。

最初に前置きをしておくと、この金額は「生きていくために最低限の金額」ではありません。

今の高齢者は余裕があるため、預貯金を取り崩しながら少しゆとりのある生活をしていると見るべきでしょう。余裕の要因としては、基本は退職金です。人によっては、企業年金などもあり月に30万ほど収入がある人も珍しくありません。

生活最低限ではないという前提で、2017年の総務省の家計調査の結果を見てみましょう。

項目 金額
食料   64,444
住居   13,656
水道光熱費   19,267
家具家事用品     9,405
被服及び履物     6,497
保険医療   15,512
交通・通信   27,576
教育      15
教養娯楽   25,077
その他の消費支出   54,028
非消費支出   28,240
支出計 263,717

いかがでしょうか。食費の64,444円、交通・通信の27,576円、教育娯楽25,077円あたりは削減余地がかなりありそうなのがわかりますね。一方で住居費の13,656円はかなりの低水準です。マイホーム(戸建て)で、固定資産税の支払いのみといった感じでしょうか。賃貸派はこの辺りはプラスを見込まないといけないでしょう。

検討のポイントはこのあたりでしょうか。

  • 老後の生活をイメージして予算を組む
  • 今の自分の家計を対比してみる

これらを踏まえて、老後の必要となる支出について考えてみましょう。

対策③:お金を貯める

今の基本は、税制優遇のあるiDeCoとつみたてNISAでしょう。次点で個人年金ですが、そこまでお金に余裕がある人は少数ですから、iDeCoとつみたてNISAを活用することを念頭に置きましょう。

iDeCoを簡単に説明すると、「自分で入り、自分で運用する、もう一つの年金」となります。即ち、加入は任意、運用商品は選択肢の中から自分で選び、60歳以降から受け取れるものとなります。

また、つみたてNISAとはNISA(少額投資非課税制度)の積立版で、積立形式で購入した金融商品に関し、譲渡益が出た場合に非課税となる制度です。

iDeCo、つみたてNISAをおススメする理由は以下のとおりです。

  • 税制優遇されており、より利益が大きくなる
  • 少額から始めることができ、長期の資産運用に向いている

iDeCoについては、掛金の限度額は人によって異なり、月12,000円~月68,000円の中で決定されます。企業年金加入者等については限度額が低く(12,000円)、自営業者は限度額が高い(68,000円)となっています。

また、つみたてNISAは人によらず年間40万円まで、となっていますので、月に換算すると33,000円となります。 これらを合計しますと、月45,000円~101,000円となります。これを長期にわたって支払っていくことで、資産形成ができることになります。 

例えばですが、100万円を利回り3%で運用すると、24年で倍になる計算です。

  10 20 30 40
元利合計 1,343,916 1,806,111 2,427,262 3,262,038
金利 343,916 806,111 1,427,262 2,262,038

ここで知っておきたいのは「72の法則」です。即ち元本が倍になるまでの必要年数でして、「72÷利回り」で計算できます。先ほどの3%ですと「72÷3=24」となります。

金融庁の積立シミュレーションのリンクを貼りますので、資産目標額から逆算して、必要な積立額を出してみましょう。

https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/moneyplan_sim/index.html

今回は以上です。

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