日本人は他の欧米諸国の人達に比べ、金融リテラシーが低いと言われています。
まずは結果から、金融広報中央委員会「金融リテラシー調査2019」からです。
日本 | 英国 | ドイツ | フランス | |
知識 | 60 | 63 | 67 | 72 |
行動 | 65 | 68 | 82 | 85 |
考え方 | 45 | 49 | 57 | 58 |
この原因について考えてみました。
日本人の金融リテラシーが低いのは、低くても問題がなかったから
低くても問題がなかった要因は以下になります。今の高齢者をイメージしてください。
- 終身雇用と年功序列型賃金で生活が守られていた
- 老後は国が面倒を見てくれた
- 経済成長が続き、自然と豊かになっていった
すなわち、投資などしなくても、仕事さえ一生懸命やっていれば、給与は増えていき、貯金もできて、老後になれば退職金と年金で悠々自適の生活ができた、というのが通常だったからです。
日本人は貯蓄好きと言われますが、実際のデータがこちらです。
現金・預金 | 資産運用 | 保険・年金・定型保証 | その他 | |
日本 | 52.50% | 16.20% | 28.50% | 2.80% |
米国 | 13.10% | 53.90% | 30.20% | 2.80% |
ユーロ圏 | 33.00% | 31.30% | 33.40% | 2.20% |
今の若者は、前提が大きく変わっています。
- 給与は上がりにくく、雇用形態(非正規、フリーランスなど)も多様に
- 年金財政は苦しく、将来は先細りが懸念される
- 経済は大きく伸びず、今後は人口減少に伴い衰退してもおかしくない
このため、ただ仕事さえやっていれば安泰とはいかなくなりました。そこで、お金に働いてもらう必要性が増したのです。
また、「他人とお金の話をしない」も要因だと思います。このため、問題を抱えていても気づきにくいですし、知識を増えていきません。
過去の記事でも書きましたが、投資を始める前に親に相談するのはやめた方がいいです。
これからの日本人は金融リテラシーが低いと問題
今の若者が大きく改善したいところは以下だと思います。
- 家計管理をしっかりする(黒字家計)
- ライフプランを作り、必要な資金を作れるようになる
- 投資の基礎を学び、分散投資でじっくり運用する
これは、端的に言えば「先々を見据えて行動しよう」という言葉に集約されるかもしれません。今が良ければすべて良いという考えの終焉かもしれません。
上記の3テーマはすべて私のブログで取り扱っていきますので、毎日少しずつでよいので、勉強し、改善する行動がとれると、生活は安定し、将来への不安も薄れていくのではないかと思います。
なお、参考までに金融経済教育研究会が発表している、投資の基礎知識として掲げられている項目を紹介します。
契約にかかる基本的な姿勢の習慣化 |
情報の入手先や契約の相手方である業者が信頼できる者である かどうかの確認の習慣化 |
インターネット取引は利便性が高い一方、対面取引の場合とは 異なる注意点があることの理解 |
金融経済教育において基礎となる重要な事項(金利(単利、複 利)、インフレ、デフレ、為替、リスク・リターン等)や金融経済情勢 に応じた金融商品の利用選択についての理解 |
取引の実質的なコスト(価格)について把握することの重要性の 理解 |
自分にとって保険でカバーすべき事象(死亡・疾病・火災等)が 何かの理解 |
カバーすべき事象発現時の経済的保障の必要額の理解 |
住宅ローンを組む際の留意点の理解 ①無理のない借入限度額の設定、返済計画を立てることの重要性 ②返済を困難とする諸事情の発生への備えの重要性 |
無計画・無謀なカードローン等やクレジットカードの利用を行 わないことの習慣化 |
人によってリスク許容度は異なるが、仮により高いリターンを 得ようとする場合には、より高いリスクを伴うことの理解 |
資産形成における分散(運用資産の分散、投資時期の分散)の 効果の理解 |
資産形成における長期運用の効果の理解 |
金融商品を利用するにあたり、外部の知見を適切に活用する必 要性の理解 |
今回は以上です。